東洋と哲学

東洋には哲学がない、ということは繰り返し論じられていることだと思う。それはもちろん、近代西洋的な意味での「哲学」というものに対しての議論であるという側面はあるが、そのような主張には、そう主張される理由...

礼と法

中国の春秋・戦国時代は、諸子百家の時代とも言われる。群雄が割拠し、広大な中華の統一のために争いを繰り返す中で、各地の王侯貴族たちは富国強兵の方策と才能を求め、民衆たちは乱世を受け止めて生き延びるための...

中庸(ちゅうよう)

中庸之為徳也、其至矣乎、民鮮久矣、 中庸の徳たるや、其れ至れるかな。民鮮なきこと久し。 (論語 擁也) 「中庸」は『論語』の中で孔子によって言及されており、儒学の伝統として重視されてきた徳目である。『...

君子と小人

君子というと徳があって立派な人、小人というと身勝手でつまらない人、という気がなんとなくする。そして、小人はあまり良くなくて、君子であることが望ましいという印象を持つのではないだろうかと思う。 今回はそ...

礼(れい)

古代中国で生じた、「徳(とく)」に続く重要な概念の1つは「礼(れい)」ではないかと思っている。元々は儀礼的な意味合いの文字だと思うが、主に儒家、とりわけ荀子によって、礼はいわば調和の方法論として意味づ...

東洋(とうよう)

私は「東洋」というものに関心を持っていて、当然のようにその言葉を使っているのだけれど、では、東洋とは何かという問題についてはあまりちゃんと考えたことがないということを思った。 「東洋」というのは西洋の...

太極(たいきょく)

原初、唯一絶対の存在は「混沌」であるという。「天地未だ形(あらわ)れざるとき」には混沌があり、清陽なるものは昇って天となり、重濁なるものは沈んで地となる。混沌から陰陽が生じて、さらにその陰陽が発展して...

徳(とく)

立派な人のことを、「徳がある」と表現することがある。義務教育にある「道徳」という科目は古臭いとか、偽善的だと感じる人もいるかもしれない。悪徳業者というと、詐欺的な取り引きを繰り返しているようなイメージ...

漢字(かんじ)

黄河流域の中原から文明を築いた漢民族が生み出した文字を「漢字」と呼ぶ。漢字は今でも広く日常的に使用される唯一の古代文明文字であり、例えばエジプトのヒエログリフの解読がロゼッタストーン無しには実現しなか...

道(みち)

道(みち、もしくは、どう)という概念は東洋では重要、かつ、広範に用いられる。元々の意味は当然ながら、人やケモノなどが通る道で、そこから例えば方向を示したり、ある位置に到達したり、繰り返し歩まれたりする...