東洋と哲学

東洋には哲学がない、ということは繰り返し論じられていることだと思う。それはもちろん、近代西洋的な意味での「哲学」というものに対しての議論であるという側面はあるが、そのような主張には、そう主張される理由...

甲辰の意味 – 2024年の干支

甲はよろいで、鱗 — よろいをつけた草木の芽が、その殻を破って頭を少し出したという象形文字で、これを人事に適用いたしますと、旧体制が破れて、革新の動きが始まるということを意味しておる。そこでこれを実践...

礼と法

中国の春秋・戦国時代は、諸子百家の時代とも言われる。群雄が割拠し、広大な中華の統一のために争いを繰り返す中で、各地の王侯貴族たちは富国強兵の方策と才能を求め、民衆たちは乱世を受け止めて生き延びるための...

中庸(ちゅうよう)

中庸之為徳也、其至矣乎、民鮮久矣、 中庸の徳たるや、其れ至れるかな。民鮮なきこと久し。 (論語 擁也) 「中庸」は『論語』の中で孔子によって言及されており、儒学の伝統として重視されてきた徳目である。『...

癸卯の意味 – 2023年の干支

癸は揆であり、物事を「はかる」意である。故に揆度(きたく)とか、揆測とか、揆策などと用いる。然るに、測るには測る標準原則がなければならぬ。それでそういう「のり」、「みち」の意にもなる。(中略)癸は物事...

君子と小人

君子というと徳があって立派な人、小人というと身勝手でつまらない人、という気がなんとなくする。そして、小人はあまり良くなくて、君子であることが望ましいという印象を持つのではないだろうかと思う。 今回はそ...

紫はおそよ380-430nmの波長の光を人間の目が知覚した結果として認知される色であり、人間が知覚・認知できる光としてはもっとも波長が短いものである。朝焼けや夕焼けにおいて、太陽光の散乱の効果によって...

時空の話

ずいぶん前だったと思うけれど、東大の大学院で物理学を専攻している学生と面接をさせてもらった際に、 僕たちは今、「物事は一意に決まる」とか、「時間の流れは一定である」とか思っているけれど、量子力学や相対...

乾の四徳、坤の四徳

『易』は生成・発展の法則を取りまとめた書物である。古代中国の書物に限らず、古い本というのは現代の私たちにとっては体系がわかりづらい、もしくは存在しないように見えるものもあるが、『易』については64個の...

礼(れい)

古代中国で生じた、「徳(とく)」に続く重要な概念の1つは「礼(れい)」ではないかと思っている。元々は儀礼的な意味合いの文字だと思うが、主に儒家、とりわけ荀子によって、礼はいわば調和の方法論として意味づ...