丁酉の意味 – 2017年の干支を考える

丁の上の一は、陽気の代表的な干である去年の丙の上の一(一は陽気を表す)を承けて、さらに陽気が進んだ段階を示しております。したがって、春から延びてきた陽気の最後的段階、季節でいうならば四月、五月に当たります。しかしその頃になると盛んであった陽気が、やや末期に入ってくる、沈んでくる。それが丁の字の本義であります。

酉であるが、これは元来酒を醸造する器の象形文字で、醗酵を表している。したがって成る・熟する・飽く等の意となり、時刻では午後五時から七時、季節では仲秋、方位では西方を表す。(中略)中に醸されている新しい勢力の爆発、蒸発、これは昔から新しい革命勢力のつくられることを表すわけであります。

(安岡正篤  『干支の活学』より抜粋)

気付くと2016年も終わりに近づき、新たな年を迎えようとする時期になりました。2016年の干支は丙申(へいしん/ひのえ・さる)で、思いきって発達してくる陽気に形を与え、活動として発展させていくべき年とされます。丙申を受けて、2017年は丁酉(ていゆう/ひのと・とり)を迎えます。

 

丁 – 陽気の発達が最後を迎える

「丁」は一言で言えば、「発達の最後」です。丁に続く「戊(ぼ/つちのえ)」は茂に通じ、陰陽がいよいよ繁雑、入り乱れていきますが、丁にもその兆しが見えます。

安岡正篤の説明では、上部の「一」を従来勢力とし、下部の「亅」を在来の勢力に対抗する新しい動きを示しているという説も採られていることがあり、新旧勢力の衝突という意味も示唆されています。いずれにせよ、陽気の発達は最終段階を迎え、ひとつの完成として「一」となります。

 

白川静は「丁」の時について、純粋に釘の頭の形であるという説を採っています。

釘の頭の形。釘の初文。[設文]に「夏時、萬物皆丁實す。象形。丁は丙を承く。人の心(むね)に象る」とする。丁実とは丁壮成実の意であるが、形義ともに当たるところがない。卜文・金文の字形はまさに釘の頭の平面形である。人においては、頭頂がその形に似ているので頂という。

(白川静  『字統』より抜粋)

やや強引ですが、釘もやはり、頭が付いて初めて釘として完成すると解釈すると、「丁」をひとつの完成した形と見ることが可能ではないかと思います。

 

しかし、陽気にしても釘にしても、伸びて頭が付いてしまえば、それ以上は発達することはありません。「丙」で囲いに入れた陽気の発達が落ち着いてくる。その陽気は必ず衰えを迎え、場合によっては新たな勢力の突き上げに遭うこともあります。

 

酉 – 機が醸されて熟し、発する

酒樽の形。金文では字を酒の意に用いており、酒の初文。[設文]に「就(な)るなり。八月、黍(きび)成る。酎酒を為(つく)るべし。古文、酉の形に象る」とし、古文一字をあげるが、その字は用例がない。

(白川静  『字統』より抜粋)

酒樽の中で酒が発酵し、熟し、成る様を表すのが「酉」です。丙申で1つの形を与えられた活動は、形を成した時点で衰えを予兆している。丁酉の「丁」が主活動の形成と衰えを示すなら、「酉」はこれまで伸びてきた陽気では末節だった部分も含めて機が熟して、新たな勢力が発することを示しています。

 

この新たな勢力は、主活動の陽気であった丁の上部の「一」をある意味で突き上げざるを得ない。そういう熟した気勢の登場を示すのが酉と言えます。

 

革命の岐路となる年

それぞれの意味を統合すると、2017年の丁酉は、

これまでの主活動が一応の形を成し、発展がピークを越える一方で、周辺勢力を含めたあらゆる機運が熟して発する、いわば革命の岐路となる年

ということができそうです。癸巳(2013年)甲午(2014年)乙未(2015年)丙申(2016年)と新たな活動を創り、芽を出し、大事に育て、伸ばしてきたが、それが次の段階へ進もうとする岐路が丁酉の示唆するところです。

 

主活動の骨格が弱ければ、「酉」によって醸された新勢力がそれを突き上げ、破壊することもありえます。2017年に続く2018年の戊戌(ぼじゅつ/つちのえ・いぬ)はどちらの字を見ても陰陽・新旧・善悪が入り乱れて煩雑になっていく。

2018年には必ず刈らなくてはならなくなりますが、2017年はその予兆として衰えと爆発が重なる。どう刈っていくのかは2017年の采配にかかっています。

 

主活動がしっかりと立ち上がっているのなら、周囲がそれに付き従い、加速的に活動が広がる。その中から、活動の真の軸を見定めていくことが次に求められます。

一方、主活動の形成が弱いものであれば、新勢力の台頭は避けがたい。むしろ爆発的・多発的に勢力が立ち上がってくる。次のフェーズでは、新たな活動に軸を移し、しっかりと刈り込むことを見据えなければなりません。

 

いずれにせよ、丁酉は転機への進行を予兆していると感じます。

 

[新装版]干支の活学 [新装版]人間学講話
プレジデント社 (2015-08-19)
売り上げランキング: 21,349

瑞月
四国の香川県出身。細々としか続けておりませんが、合気道と剣術を少々しております。漢学教室で学習した内容の発信も行っています。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です