不変の上に築く – ジェフ・ベゾスの経営哲学

私はよく「5年後、10年後には何が変わっているだろうか?」と尋ねられる。しかし本当に重要な質問は「5年後、10年後にも何が変わっていないか?」だ。なぜなら、ビジネスの根本を長期にわたって不変な原則の上に建てることができるからだ。

今から5年、10年経ってユーザーが私のところに来て「ジェフ、値段をもっと高くしてくれないか」ということは想像できない。「配達を遅くしてくれ、品揃えを少なくしてくれ」などということもあり得ない。低料金、速い配送、幅広い品揃えは何十年経ってもユーザーが望むものだ。

(Amazon CEO ジェフ・ベゾス)

Amazon(アマゾン)のCEOであるジェフ・ベゾス氏がre:Inventという開発者向けカンファレンスで語った内容が、日経ビジネスオンラインで紹介されていました。ベゾス氏の哲学は非常に本質的で魅力的だと感じます。

 

変わらないものを見定める

不変の原則の上にビジネスの根本を建てるというのは、非常に本質的です。変わるものに目を奪われていては、大局観は得られない。変わらないものを見据えることで、何は変えても良いかを判断することができます。

 

個人の生活においても、これは非常に重要な問題だと感じます。世の中において、最もめまぐるしく変わるものの1つは毀誉褒貶、評判や地位、収入といったものです。

多くの場合、人はこの移ろいやすい毀誉褒貶に翻弄されます。場合によっては、5年後、10年後の栄達、また、老後の安定というものを、この変化の上に築こうとする。ただし、この変化を見定められる人は現実にはほとんどいないはずです。

 

もちろん、社会は安定していた方が望ましいですし、将来のために蓄えるということは必要なことです。安定した社会においては、地位やお金を中心に物事を考えることも一定の理があります。

ただし、ただ評判や地位、お金があれば安定であるというのはある種の幻想であり、それだけで人が幸せになるとはやはり思えません。変わらないものを見定めて初めて、変化に柔軟に対応し、いきいきと生きることができると感じます。

 

大業を計るべき人 – 西郷隆盛の人物観

ジェフ・ベゾス氏はビジネスにおける哲学として「不変の原則」を説いていますが、これはどのような事業にも共通であり、また、人物の修養、人物を見定める上でも本質的な指摘だと思います。

 

明治維新の功労者であり、維新三傑にも数えられる西郷隆盛が遺した『大西郷遺訓』には、

生命も要らず、名も要らず、官位も金も要らぬ人は、御し難きものなり。然れども此の御し難き人に非ざれば、艱難を共にして国家の大業を計る可からず。

という言葉があり、また、「道に立ちたる人に非ざれば、此の気象は出でざるなり」という指摘があります。

 

名誉や官位や金、そして、乱世においては生命さえも移ろいやすいものです。ただ、その移ろいやすいものに恐々としている人とは、到底国家の大業など計ることはできない。

そんな移ろいやすいものに本人が翻弄されていては、国家百年の安定を計ることは不可能である。これもまた、非常に本質的な指摘です。

 

「不変の原則」を何とするかは、その人の信条、また、取り組む事業によって異なると思います。ただ、それは他者からの評価によって左右されるものではなく、天の道、つまり自然の原則によって決まり、また、自らの本性に従うものでなければならないと感じます。

 

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