事少なきより福なるは莫し

福莫福於少事、禍莫禍於多心、

福は事少なきより福なるは莫く、禍は心多きより禍なるは莫し。

(菜根譚  五十)

人生を多事に生きるか、少事に生きるか。これは一つの哲学であり、透徹した見識が必要と感じます。

 

安岡正篤の「六中観」に「忙中閑あり」というものがあります。今の私にとっては、人生は「忙中閑あり」がもっとも理想であると思えます。

「小人間(閑)居して不善を為す」とは『大学』の有名な一節ですが、やはり修養をして初めて「少事の福」を知り、また実践できるものだと思います。

 

『菜根譚』にも続けて、

ただ事に苦しむ者のみ、はじめて事少なきの福たるを知り、ただ心を平らかにする者のみ、はじめて心多きの禍たるを知る。

とありますが、「少事の福」というのはやはり、作為の果てにあるものであると感じます。

 

一方で「閑」を持つことは人間にとって、非常に大切なことだと思います。ここでいう「閑」は暇ということではなく、心を鎮めて物事に対する瞬間ということです。

「閑」という字は「門をくぐると木立があり、静まっている」状態であり、心を鎮めて余裕を持つということを表していると言われます。物事を為すには、鎮まって考えることが不可欠です。

 

私のような凡人が生きるには、やはり多事が必要ではあります。やはり「忙」の中でしか「閑」を作っていくことはできないし、また「忙」の中で「閑」を持つことが、精神にとって最も健全だと感じます。

ただ、いつかは「少事の福」という境地に近づきたいなと思います。

 

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