過ち無きは是れ功なり

処世不必邀功、無過便是功、

世に処しては必ずしも功を邀めざれ、過ち無きはすなわち是れ功なり。

(菜根譚  二十八)

処世の微妙さを説いた、非常に感じるところの大きい一節です。

 

『菜根譚』は明の時代の洪自誠が著した書で、儒仏道の三教の思想を取り込んだ清言の書です。特に禅の思想を強く反映しており、日本には江戸時代に伝来した後、禅僧にも広く読まれたと言われています。

 

欧米・日本・中国の思想を比べた場合、似ている部分も非常に多いのですが、私の感覚としては中国の思想がもっとも深みがあると感じます。

それは中国が絶えず異民族の脅威を感じつつ興亡を繰り返してきたという、大陸的な事情を反映しているのだろうとも感じます。

 

「功」を邀(求)めないとしながら、過ち無きをもって「功」とする。この一節の後、さらに「怨み無きはすなわち是れ徳なり」と続きます。シンプルですが、よくよく噛みしめなくては容易くは解せません。

 

矩を超えず、怨みをこそ恐れる。やはり第一級の処世術だと感じます。

 

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