人生二度なし

これの世の  ふたたびなしといふことを  心に透り知る人すくな

(森  信三)

「人生二度なし」という真理のみは、古来只一つの例外すらない。「人生二度なし」を最大最深の真理とした森信三の想いがこもった歌です。

 

九十七歳まで生きた森信三ですが、彼は「一日は人生の縮図」と言い、その日の仕事は決して先延ばしにせず、睡眠時間を削ってもやり遂げる、腰骨を立てるのが性根を入れるコツであるなど、シンプルな原則で生き方を教えます。

心という目に見えないものを整える第一歩は身の回りを整えることだと説き、脱いだ靴を揃えたり、落ちているゴミを拾うことの大切さを子供や親たちに伝えたとも言い、教育者として非常な格の高さを感じます。

 

「人生二度なし」というのも、真に理解して日々を生きることが出来れば、それだけで生き方は変わるのだと思います。私自身、至らないと感じることが多いですが、折に触れて思い出すべき教えだと感じます。

 

平安時代初期の歌物語であり、『源氏物語』の中にもその名が現れる『伊勢物語』には、こんな歌も見られます。

つひに行く  道とはかねて聞きしかど  昨日今日とは思はざりしを

『伊勢物語』には在原業平の歌が多く採られていますが、この歌は在原業平の作として『古今和歌集』にも収録されています。業平は現代でいうところのプレイボーイだったとされますが、多くの感情と生きた彼が「死」と出会った瞬間の驚きと無常感が、見事に表現されている歌だと感じます。

 

「死」はいつか来るものであるが故に、あまり難しく捉えても仕様がないと私自身は思っています。「いつか来る」ということを忘れずに、今を生きることが出来ればと思います。

 

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瑞月
四国の香川県出身。細々としか続けておりませんが、合気道と剣術を少々しております。漢学教室で学習した内容の発信も行っています。

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