正を以て合い、奇を以て勝つ

凡戦者、以正合、以奇勝、戦勢、不過奇正、奇正之変、不可勝窮也、

凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝げて窮むべからざるなり。

(孫子 勢編 二)

『孫子』において「虚実」や「奇正」はキーワードとなる概念です。「兵は詭道」だけでなく、正道があって初めて詭道が生きるというのが『孫子』の戦略の本質だと思っています。

 

正しいやり方に従って不敗の地に立ち、状況に応じた奇法を用いて勝つ。人間(の心理)に重きを置いた『孫子』の思想が良く現れている一節だと感じます。

 

私がこの一節を好きなもう一つの理由は、本節で述べられている比喩がとても巧いと感じるからです。

 

古代中国の感覚では、音、色、味といった感覚はそれぞれ五要素(色であれば赤、青、黄、白、黒)で構成されていると考えられていたようです。ただ、それらを構成する要素は五つに過ぎないのに、それらの組み合わせは無限で窮めつくすことはできません。

 

同じように、戦いというのは正法か奇法かの二つしか方法がないのに、それらの組み合わせは無限で窮まることはありません。

 

戦いは「臨機応変」ということがありますが、実は奇正、虚実しかない。戦いというもののシンプルさと奥深さを見事に教えてくれる一節です。

 

超訳孫子の兵法
超訳孫子の兵法

posted with amazlet at 11.06.16
許 成準
彩図社
売り上げランキング: 6286

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です