天の極に配す

善為士者不武、善戦者不怒、善勝敵者不与、善用人者為之下、是謂不争之徳、是謂用人之力、是謂配天之極、

善く士為る者は武ならず。善く戦う者は怒らず。善く敵に勝つ者は与せず。善く人を用いる者は之が下となる。

是れを不争の徳と謂い、是れを人の力を用うと謂い、是れを天の極に配すと謂う。

(老子  下編  第六十八章)

『孫子』の兵法にも通ずる、政治・兵法・処世のいずれにも示唆深い一節です。

 

『老子』と言えば「無為自然」が有名ですが、鍛錬された精神がその大前提にあると感じます。

『老子』において、武・怒・与(与すは「相手にする、戦う」と解するようです)は善い術とはされませんが、それらを全く持たないことを奨励しているわけではないと考えています。

 

武道の教えに「文に偏ずればすなわち弱し」というものがありますが、それは間違いないと思います。

『老子』が説く「自然」は、武道における「自然体」や「不動心」に通ずるもので、それは「有為」(鍛錬された強さ)の先にしかないと思うのです。

 

また、この章でも顕著ですが、「為すために無為である」というのが『老子』において、もっとも興味深い概念の一つだと感じます。

 

自分自身が徳を積む上で、心に留めておきたい一節です。

 

老子の無言
老子の無言

posted with amazlet at 12.06.17
田口佳史
光文社
売り上げランキング: 73441

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です