私無きを以て、私を成す

非以其無私耶、故能成其私、

其の私無きを以てに非ずや、故に能く其の私を成す。

(老子 上編 第七章)

『老子』は逆説に満ちた思想ですが、ここでご紹介する一節もそれが端的に現れたものだと思います。

 

『老子』における「少私寡欲」は、決して精神論ではなく、「自己実現」のための方法論だと捉えています。どちらかというと私は、「情けは人のためならず」にも近い概念だと捉えています。

 

欲望は人を動かす原動力であり、自らを動かす際も、他人を動かす際も「利」を以てするというのがいわば常道ですが、「欲望」の構造を知った上でその上位概念として「寡欲」を身に付け、処世や戦いにまで活かすのが『老子』の学説と考えています。

 

『孫子』や『韓非子』に、『老子』の色が現れるのは、それが勝負の機微に触れるからだと言うと、言い過ぎでしょうか。

 

老子 (講談社学術文庫)
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