梅干し番茶 – 胃腸を整える

人莫不飲食也、鮮能知味也、

人、飲食せざる莫(な)きなり。能く味わいを知る鮮(すく)なきなり。

(中庸  第四章)

「道」というものは高尚に考えすぎて、日常に行えないと断じても意味がなく、もちろん愚かであって「道」のなんたるか、いかに行うべきかに知が至らなくてもいけない。

そういう意味で、飲食は程よく実践できるよう工夫をするには適したテーマです。『中庸』においても「人は皆、飲食を行うが、味わいを知るものは少ない」と教えています。

 

食物もまた薬 – 東洋の薬観、食物観

東洋には「薬餌」という概念があり、

西洋は薬は薬、食物は食物と皆分けています。それで鱈腹栄養価のあるものを食って、病気になったらヂヤスターゼとかビオフェルミンを飲む。吾々もそう考えて来たが、ところが東洋ではそうではない。東洋では薬と食物とを分たない。

所謂薬餌であって、薬は食物であり、食物も亦薬である。この点が非常に統一的含蓄的である。だから不断から薬になる食物を食って特別に薬を飲まない。

薬にならん様な食物は本当の食物ではない。是が東洋の薬に対する観念であり、食物に対する観念です。

(安岡正篤  『経世瑣言  続編』より抜粋)

と安岡正篤は説いています。

 

古来、仏は「医王」であったとされます。心の病を治す以前に、身体の病・健康の相談相手となり、民衆を救うところから教えが始まる。その意味でも、『中庸』にいう「能く味わいを知るもの」となり、日常において工夫することは修養の原点と感じます。

 

梅の効用と「梅干し番茶」

さて、恥ずかしながら、私はあまり身体が強くなく、特に胃腸があまり丈夫ではありません。安岡正篤は胃腸の健康に対して、しばしば「梅干し番茶」というものを薦めており、妻のおばあさまがいつも漬けている梅干しをくださるので、最近はこれを試してみています。

「番茶」というのは緑茶の一種で、煎茶とは違って若葉ではなく成長とした葉を原料とし、タンニンが多めでカフェインが少なめになっているそうです。味わいは淡白でさっぱりとしているが、渋みがあるとされます。(番茶:Wikipedia

 

阪口珠未さんの『薬膳&漢方の食材辞典』では「梅」について、

初夏に最盛期を迎える梅は、体に潤いを与えて、汗のかき過ぎや下痢によるのどの渇きを癒します。腸の働きを整えるので、下痢や便秘の改善にも効果を発揮する食材です。

梅特有の酸味は、クエン酸などの有機酸によるもの。疲労回復効果が高く、首や肩のこり、神経疲労の回復も期待できます。また、水分代謝を整えて消化を促し、食欲を高める作用もあるので、暑気あたりの改善に適しています。

と記載があります。梅干しと緑茶の組み合わせについても、殺菌・防腐作用のある「梅」をつぶして、抗菌作用の強い「緑茶」に入れて毎朝1杯飲むと、食中毒予防になると紹介されています。

 

阪口珠未さんの『薬膳&漢方の食材辞典』はたまたま図書館で目にしたのですが、食材の豊富さや説明の分かりやすさに惹かれ、また、レシピも非常においしそうなので一目惚れをした本です。「薬餌」という考え方に興味のある方は是非一度、手に取ってみると面白いと思います。

 

「薬餌」は日常とすることが大切です。習慣として、工夫をしながら続けてみたいと思います。

 

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