思ひたゆまば

難しとて  思ひたゆまばなにごとも  なることあらじ人の世の中

(明治天皇御製)

「歌」というのは、本当に美しい表現方法だと思います。おそらく外国語でも同じような表現があるのだと思いますが、「歌」は日本語が美しいと思う理由の一つです。

 

ここでご紹介した御製については、武田信玄、上杉鷹山の言う「為せば成る」、『書経』に見られる伊尹の「為さずんばなんぞ成らん」など、同じような知恵を伝える表現は昔から多く見られます。

 

古典を読んでいると、ほとんどの知恵は何度も繰り返し現れますし、失敗もまた何度も繰り返されます。別に誰のどのような表現が優れているというわけではなく、人が繰り返し唱えるということが非常に面白いと感じます。

 

同じ知恵を異なる人が異なる言葉で表すこともあれば、一人の人間がよく用いる表現というものもあります。例えば、吉田松蔭の文章には「死して後已む」という表現が繰り返し現れます。

 

言葉には想いが込められており、言葉との出会いには時機というものがあると思っています。大切だと思える言葉に出会えた瞬間は、やはりとても嬉しいと思うのです。

 

同じ知恵に異なる形で何度も出会い、感じるところがあるということは、とても貴重で楽しいことだと思っています。

 

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