同人 – 天上火下、天火同人(上卦 十三)

天火同人

社会生活において、最初は天澤履(礼に従い履み行う)、それによって地天泰(物事が通じる)、やがて天地否(塞がるときを迎える)と続き、いつまでも塞(否)がってはおられないので、の卦の次に同人が置かれるとされます。

否(ふさ)がった状況を打破するのは人と人との和であり、互いに手を携えていくことで運が拓けてくることを教えるのが、天火同人の卦です。

 

公平無私に和同し、地より火起こる

の卦は天上地下、つまり世界の姿そのもので陰陽交わらず、物事が否(ふさ)がる形。同人は地が火に変化し、天に上る機運が地から起こってきた形と見ることができます。

 

同人、つまり和同するのは良いことですが、利や駆け引きによって同ずるのではいけない。そこで、

同人于野、亨、利渉大川、利君子貞、

人に同じうするに野に于(おい)てす。亨る。大川を渉るに利有り。君子の貞に利あり。

狭い私情の場裡においてではなく、広い野において同ずる。曠野において同ずる。曠遠な範囲にわたり、公平無私に人が和同することによって、世界の果てまで親しむ。それによって、亨る(通る)。

 

心広く人と仲良くすれば、願いは亨るし、危険も乗り越えて大いなる天行、たゆみない前進に近づくことができるのは道理です。そこで「大川を渉る」こともできる。ただし、それには君子の貞(ただ)しさ、君子の道に適っている必要がある。

 

志通う者を集め、進歩向上を目指す

「天」と「火」は同じ性質を持つものの象徴です。

天與火同人、君子以類族辯物、

天と火とは同人なり。君子以て族を類し、物を弁ず。

「天」は天にあるもの、「火」は燃え上がるもの。その性質が同じであるため、天上火下の形を「同人」とします。天の下に火が在るというのではなく、天も火も進歩向上、たゆみない前進を目指すものの象徴として、志を同じくしています。

 

この法に従い、君子は人々(族)を分類し、物事を弁別する。志通うものは同じくし、異なるものは分けるとされます。そこに否(ふさ)がった状況を打破する力が生まれます。

 

いわゆる「同人誌」、「同人活動」という言葉もこの卦からきています。状況を打破し、進歩向上を目指す志士が私欲を去って和同することで、大川を渉る活力が生まれる。社会生活を営む上で示唆の深い卦です。

 

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