泰 – 地上天下、地天泰(上経 十一)

泰

泰は水中に落ちた人を両手で助け上げる形で、「やすらか」、「ゆたか」という意味となり、泰然・泰平・安泰などの熟語があります。

中国において、天子が天地を祭る封禅(ほうぜん)の儀を行われる中華第一の名山が泰山です。地でもっとも尊いとされる泰山と、天の指標となる北斗星とを重ねて「泰斗」(たいと)と言えば、その分野における第一人者として、仰ぎ尊敬される人のことを指します。

 

天地交わり、万物通ずる

泰の卦は上卦が地、下卦が天であり、天地がさかさまのように見えますが、が交わって万物が生じるように、この形であってこそ天地が交わり、陰陽の気が通ずるとされます。暦でいえば正月・瑞月にあたり、天地の気、相交わって万物が通ずるときです。

ちなみに、「瑞月」は「正月」と同じですが、秦の始皇帝の名が「政」であったため、皇帝の名を使わない名諱(ないみ)という習慣から「政」と同音である「正」も使用を避けられ、「正月」が「瑞月」と書かれます。

 

の卦のときに、上下の分別を守り、道を踏み行うことによって外(上卦)は控えめながら、内(下卦)の気力が充実する。その形が泰であり、その意味で非常に良い卦です。

現代でも渋谷や新宿、上野といった繁華街でたまに見かける易者の看板、これには泰の卦が描かれます。

 

外は控えめに、才能・気力を磨く

泰の卦は、

小往大来、吉亨、

小往き、大来たる、吉にして亨る。

小(陰)が往く、つまり外が控えめで、大(陽)が来る、才能・気力を磨いている。その望ましい、泰(やす)らかで泰(ゆた)かな姿が泰です。この姿は吉であり、願いは亨(とお)ります。

 

さらに、

天地交泰、后以裁成天地之道、輔相天地之宜、以左右民、

天地交わるは泰なり。后以て天地の道を裁成し、天地の宜を輔相し、以て民を左右(たす)く。

天地交わり陰陽和すれば、万物の生命伸長する、これが泰の卦である。后は「きさき」ではなく、天帝に対する地后(ちこう)、つまり地上を治める各地の君主のことで、天地の道を整然たる秩序のある形に成し、天地の義をたすけ、それによって民を扶け養うべきことを教えます。

自然には秩序があり、天地の秩序が人に映ったものが道であり、徳であり、義です。ただ、凡人は日常の煩雑さに惑わされ、その秩序を見失う。地后はその道を地上で示し、それによって民は導かれ、救われる。

 

いずれにしても、泰は非常に良くできた卦です。

 

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