需 – 水上天下、水天需(上経 五)

需

は赤ん坊で水の険しさを山が止めている形でしたが、需は下卦に健の徳である「天」、上卦にそれを妨げる「水」が配置されており、にわかには進めないため「待つ」、あるいは「求める」時とされます。

 

時を待ち、求め、大川に臨む

需有孚、光亨、貞吉、利渉大川、

需は孚(まこと)有れば、光(おお)いに亨(とお)る、貞なれば吉なり。大川(たいせん)を渉るに利あり。

下卦にある「天」は本来、進んでやまないものですが、需のときは前方の「水」(険)に陥らないよう、よく待つことが大切と教えます。

前方には大川があり、待つべきときに待ち、孚(まこと)であり、貞(ただしい)であれば、その大川も渉ることができます。つまり、「光いに亨る」となります。

 

安らぎ楽しみ、人格を豊かにする

需は「需要」という言葉があるように「求める・待つ」という意味ですが、本来は雨乞いをして雨を求め、待つ巫祝(神に仕える人)の形を示します。

日照りのときには雨を求めて祈りますが、需の卦は待つべきときには正しい祈りを捧げて待ち、安らかに楽しむべきことを教えます。

雲上於天需、君子以飲食宴楽、

雲、天に上るは需なり。君子以て飲食宴楽す。

ここでは上卦の「水」は「雲」とされ、雲が天上にある様子を表します。天の雲は陰陽の理、気の和合によって自然と雨となり、川となりますが、それを人為でどうにかすることはできません。

そこで君子は「飲食宴楽」し、時が至るのを待つとされます。ただし、ただ待つのではなく、来たるべき時に備えて豊かな飲食をし、安らぎ楽しむことを勧めます。「宴」は「安」に通じています。

 

人間で言えば、少年期には精神的にも物理的にも正しき飲食をし、安らかに楽しみ、人格を豊かにすることを教えていると解することもできます。

もちろん西洋にも似た教えはあるのだと思いますが、こうした豊かで、かつ本質的な人間哲学はやはり東洋思想の魅力であると感じます。

 

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