屯 – 水上雷下、水雷屯(上経 三)

屯

乾(天)の創造的エネルギーと坤(地)の生成化育の徳が交わった後に現れる卦が屯です。屯の字の上部にある「一」は地面を表し、屯は草木が芽生え、地面を突き破った形を示します。

 

陰陽交わる、起こりのとき

乾坤(天地)が交わり、天地創造万物生成の始まりの時を迎えることから、芽が地面を穿つほどの充実した気力を表すと同時に、生みの困難・苦しみを含むのが屯の卦とされます。

内卦(下卦)の雷はエネルギーを表しますが、そのエネルギーは外卦(上卦)の水の険しさに阻まれており、まだ十分に力を発揮できる状態ではないと解せられます。

 

これは事業で言えば草創期、人間で言えば赤ん坊にあたり、

屯剛柔始交而難生、天造草昧、

屯は剛柔始めて交わりて難生ず。天造草昧なり。

とされます。要するに、正しいエネルギーと包容力が交わって、新しい活動が芽生えてはいるものの、まだはっきりとはせず、悩みや困難があるときが屯ということになります。

 

芽生えをじっくりと養い、生長につなげる

易は、屯のときに取るべき振る舞いを以下のように教えています。

雖磐桓、志行正也、

磐桓(はんかん)すといえども、志し正を行うなり。

「磐桓」は進みづらく躊躇する様。屯においてはそのような状況に陥るが、正しい態度を崩してはならないと。また、

小貞吉、大貞凶、

小貞は吉、大貞は凶。

屯は起こりの卦であり、まだ力は弱く、難を救うには足りず、過大な欲は災いを招きます。赤ん坊は無理に成長させようと、性急に少年と同じように扱っても駄目で、困難な事業は正道に集中せず、様々なことに手を出しても成功は見込めません。

それは端的に、「小貞吉、大貞凶」(小事は吉、大事は凶)と表現されます。

 

物事の起こりは「正道を外れず、芽生え始めた充実した気力をじっくりと養い、さらに生長させるとき」である。当然といえば当然であるが故に、大智を感じさせる卦です。

 

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