乾 – 天上天下、乾為天(上経 一)

乾

易は乾坤(天地)から始まり、乾は六十四卦の冒頭に位置づけられます。六爻すべてが「陽」であり、もっとも純粋な陽、最高に健なるものの象徴で万物の源とされます。

 

元亨利貞 – 尽きることない乾の四徳

上三爻で形成される八卦を「外卦」、下三爻で形成される八卦を「内卦」と呼びますが、乾は天を二つ重ねることで表現されます。これは「天行は尽きることなく繰り返される」ことを表現しているとも言われます。

 

乾の卦について、もっとも有名な一節は、

乾、元亨、利貞、

乾は元(おお)いに亨(とお)る、貞(ただ)しきに利あり。

であり、元・亨・利・貞は乾の四徳と呼ばれます。

 

「元」は「おおいに」と同時に「はじめ・もと」、「亨」は「生長」、「利」は「よろし・効く」、「貞」は「不変・持続」を表すとされ、「大いに亨って、至って正しく、その正しさを持続することによって、再び芽生える」という意味に解せられます。

読み(書き下し文)については「元(はじ)めて亨る、利(よろ)しくて貞(ただ)し」とする場合もあるようで、乾の意味をより直接的に表しているとも感じます。

 

正しい起こりの姿が乾であり、逆に動機が不純であれば、その起こりは持続しません。乾は循環を表すため、厳密には始まりを定義することは出来ませんが、敢えて言うならば「元」が源であり、そこから「元気」という言葉が生まれます。

普段、何気なく使う「元気」という言葉ですが、万物の源であると知ると「元気」の大切さを改めて感じます。「元気」が萎えることはすべての創造性を失うことであり、強い自戒を込めて、元気・正気を養うことを意識すべきだと思います。

 

天行健なり、自疆息まず

乾の卦にはもう一つ、非常に有名な一節があります。

天行健、君子以自疆不息、

天行健なり、君子以て自疆(じきょう)息(や)まず。

冒頭でもご紹介したように、天行は健やかで、しかも尽きることがありません。同じく、君子が自らを疆(強)めることにも息まない努力がなくてはならないと、乾の卦は説きます。

 

「大いなるかな乾元」。易のはじめである乾の卦は「天の働きの偉大なるはじめ」であり、活動の根源的な在り方を教えてくれると感じます。

 

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